逃げられた・・・


材木屋さんの工務店があった。
木の素材の良さという点では、材木屋さんというのは有利かもしれないという期待をもって、出向いてみた。
代表のIさんは、朴訥というか口数が少なく、なんとなく「沈黙」してしまうその場の空気に、オットは急かされる様にしゃべりつづける状況になってしまった。
ただ、木材の話になると、サンプルはふんだんに出てくるし、「木」の話については、口数の少ないIさんの口も少しは軽くなるようだった。
まずは、自分の考えているプランを提示して、建てる事ができるかどうか検討してもらうことにした。
事務所の下の作業場には、当然木がごろごろしており、木の香りがいっぱいで、「良い」木が「安く」手に入る事をセールスポイントにしていて、それはそれでおもしろいかな…と思った。

次に行ってみると、設計の担当というヒトも打合せに入った。
専門的なことはまかせなさい、というような口ぶり(と態度、に見えた)であった。
ところがそれもつかの間、オットが色々と質問、要望を話していくうちになんとなく二人とも寡黙の人になってしまった。
そして、ついに…「設計については、お付き合いのある設計事務所の先生がいますので、紹介させていただいて…そこでプランを詰めてみては…?やはり、餅は餅屋と云いますから…」とのこと。
「先生も個人で最近独立してますが、先日まで大手メーカーのS住宅で設計を担当されていた先生ですから、この先は設計料も発生しますが、そのほうが我々より確実でよさそうですし、まずは逢ってみて。経験豊富でし、きっと相性もいいと思いますし。」
自分のところで手に負えない分を外にやらすのはかまわないが、それを突然客に転化し、よりによってハウスメーカー出身の先生だとは、以前の件もあり、納得いかない。

「餅は餅屋」
私たちは、あなたたちのところが餅屋だと思って餅をついてもらいにきたのに、「餅はつくけどもち米は米屋やさんで買ってきて下さいね」、と云われているように思えた。
設計施工をうたっていたじゃないですか、さっきまで。
私たちが望んでいたのは、現実に家を建てるにあたって、具体的なお話ができるパートナーだったのだ。
私たちの描くプランを現実のカタチに一緒にしてくれるヒトだったのだ。
改めて図面をひいてくれる人ではないのだ。
それでも、「木」の魅力もあって、まずは、今回こちらで提示した図面を元に材木屋仕様で、分かる範囲の概算見積もりを出してもらうことにした。
出来上がったら連絡をくれるとのことだった。

1ヶ月しても返事が無いので、電話をしてみると、取引をしていた水道業者が倒産して見積もりが出せない、ということで、もうしばらく待ってくれ、ということだった。

…それから1年近く経つ。
いまだに返事は来ない…。

逃げられた…。

結局、「できない」とは云わないが、私たちの希望について手におえなかったのだろう。
そうであれば、「できない」と云ってくれればいいのに…。
今思えば、途中でサインはでていたように思うが、その頃はこっちも夢中で気づかなかった。
悪いことをしたかなあ、気に病んでいたかもしれないなあ、とも思うので、そっとしておくことにして、それから催促はしていない。
無理させました、すみません。


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